ライブハウスが「経営難」で潰れるなんてバカげてる

閉店

photo credit: susivinh via photopin cc

ご機嫌よう、煤渡(@suswatari88)です。

先日、下北の老舗ライブハウス屋根裏が、今年度いっぱいでの閉店を発表しました。

下北沢屋根裏、閉店!で名前が出たアーティスト22選

ここ数年、ライブハウスの閉店が目立ちます。閉店の理由は店によって様々とはいえ、この音楽不況の時代です。経営難だったのでは? と思ってしまうのも、無理はありません。

 

ですが、正直それはおかしい。なぜライブハウスが経営難で潰れるのか。「何かと大変なんだね、お疲れ様」で済ませていては、今後もどんどん無くなっていくのではないかと思うんです。

思い出の場所が、これ以上減るのはさすがに寂しいものがあります。この問題を少し考えてみます。

 

ノルマ制とは

その前に、まずは「ノルマ制」について説明しておきましょう。

小規模なライブハウスでは、平日のほとんどが「ノルマ制ライブ」で埋められていることも珍しくありません。これは店側が、出演アーティストに集客ノルマを課すものです。

 

例えばチケット1500円のライブ。店側は出演者に、20人という集客ノルマを課します。1500×20=3万円が、1バンドあたりのノルマとなります。平日は大抵複数の出演者がいて、計5バンドなら3万円×5バンド=15万円となります。

この金額がノルマとして、出演者から店に支払われるということです。公演によって別途細かな規定はありますが。

つまり、上記の例で公演を組めば、最低でおよそ「15万円/日」が店に入る仕組みと言えますね。

 

店のリスクはどこにあるのか

前述の通り、ライブハウスの平日はこの「ノルマライブ」で埋まっていることが多い。とすると、ライブハウス側にはそれなりに安定して、最低限の収入が発生するように見えます。

それなのに、なぜ「経営難」でライブハウスが潰れてしまうのでしょうか。おかしな話じゃありませんか。「ノルマ分だけじゃ、営業コストをまかなえないんだよ!」とでも言うのでしょうか。

 

確かにライブハウスを一日営業するには、決して安くはないコストがかかるだろうと思います。ですが、少なくとも上記の様なノルマ制であれば、その日の最低収入がどのぐらいかは把握しやすいはず。

それに合わせて、少なくとも潰れずに済む様な経営努力をするのは、当たり前のことです。コストを削減するもよし。店側も本気で集客に協力するもよし。

概算がわかるのだから、どうとでもできるでしょう。その当たり前ができていれば、店側にはさほど重大なリスクは無い様に見えます。

 

え?ライブハウスって集客しないの?

驚く方もいるでしょうが、残念ながらほとんどやりません。

平日のアマチュアライブなんて、せいぜいホームページに情報を載せて、ツイッターで流すぐらいのものです。集客とは呼べません。その上、集客できない出演者にはなかなか厳しいのです。説教されることも少なくない。

もちろん集客できない出演者は悪いです。ですが、少なくともノルマは払っている訳ですよね。説教するヒマがあったら、具体的な集客ノウハウの一つでも教えてあげたらいいのに。

集客が増えれば店も嬉しいはずですから、出し惜しみせずアドバイスすればいいんです。「地道にライブをやって、集客を増やすしかない」なんていったファンタジーな助言ばかりではなくてね。

 

そもそも、平日に「1バンド20人」というノルマ。あくまで例とはいえ、普通によくある数字です。ですが、わたしはあまり納得がいきません。

仮に全バンドがノルマ通りに集客したらどうなるか。5バンドいたら、その日は計100人の集客となります。果たして店側はその日、100人の来場者に対応できる準備があるのでしょうか。

ライブハウスばかりを責めるつもりはありません。集客できないのはもちろん悪い。ですが、初めから「実際そんなに集まらない」と思ってノルマを課している店もあるのでは?

そう思わざるを得ません。潰れたくないのはわかりますが、そんな店はノルマの数字だけでなく、色んなことを一から見直す必要があるでしょうね。

 

いい加減お店にファンをつけよう

さて、文句ばかり言っていても仕方がないですから。どうすればいいか考えていきましょう。

といっても必要なことは一つ。ライブハウス自体に、ファンをつければいいんです。

正直、ライブハウスは来場者を「お客様」だとは思っていないでしょうね。だから来場者に優しくない店が多い。

カフェで観るライブの方が、ライブハウスより楽しめる

なぜなら、店にとっては出演者が「お客様」だからです。ノルマ制が店の経営を支える以上、とにかく出演者がいないと潰れてしまいますから。

 

出演者がいれば、ノルマでなんとかなる(なんとかなっていないから潰れるんですが)。だから店は出演者を応援するし、出演者のことは考える。

来場者が入るフロアより、楽屋の方が居心地がいいことも多いんですよ。異常ですよねこれ。

 

話を戻します。今後は、ライブハウスは自分たちのファンを増やす努力をするべきです。

店に固定ファンがつけば、日々の出演者の集客能力に振り回されず、もう少し安定するはず。

「ミュージシャンは、もっと自立して活動すべき」と言われる時代ですが、ライブハウスも同様にもっと自立する必要があるのではないでしょうか。

 

おわりに

こうして改めて整理してみると、結局は当たり前のことしか言っていませんね。その当たり前ができていない場所が多すぎる上に、そんな場所でも生き残れてしまう状況が異常なんです。

ライブハウスは大切な場所です。音楽を盛り上げていくために、いま何が必要なのか。日々の経営に追われることなく、こういった視点で動いてくれる店が増えることを願います。

さよならを言うのがこんなにもつらい相手がいるなんて、ぼくはなんて幸せなんだろう。さようなら!