ガキ使の「笑ってはいけない」から音楽を考えてみる

年末の風物詩、ガキ使の「笑ってはいけない〜」はあなたもご存知だろう。

「笑ってはいけない」という状況が笑いを生むというのは、考えてみるとなかなか興味深い現象ではないだろうか。

そこで、これを音楽に置き換えるとどうなるか、ちょっと考えてみる。

 

歌ってはいけない

まず思いつくのがこれである。お笑いが「笑ってはいけない」なら、音楽は「歌ってはいけない」となるだろう。

なるほど、つまり昨今のアイドルソングの事だ。確かに歌ってしまうと下手がバレたり、口パクがバレたりと...おっと、誰か来た様だ。

 

鳴らしてはいけない

失礼、仕切り直そう。音楽の場合は「鳴らしてはいけない」となる。もっと言うと、鳴らしてはいけないという状況が音楽になるという事だと言える。

こう聞いてすぐ浮かぶのは、ジョン・ケージ作曲の「4分33秒」という曲だろう。

参考:4分33秒 - Wikipedia

4分33秒の間、全く音を鳴らさないという曲である。実際に楽譜も用意されると聞くが、演奏者たちは何も鳴らさない。鳴らしてはいけない。

なるほど、確かにガキ使と同じ構図である。とはいえ、正直これでは前衛的過ぎて、わたし達にはそれを「音楽である」と感じることは難しい。ジョン、ちょっとやり過ぎ。

 

もう少し真面目に考えてみる

これだとイマイチつまらないので、もう少し掘り下げてみよう。

まず、笑ってはいけないをもう少し詳しく考えてみる。あの番組は、笑ってはいけないと言っているところに、様々な「笑かし」があって初めて笑えるものである。芸人たちがただ笑わないでいるだけでは、当然笑いは生まれない。

シンプルに考えると、視聴者はあくまでその「笑かし」で笑っている。当たり前である。

ということは、音楽に置き換えると「無音」じゃさすがに「音楽」にならんだろ、という事だ。「4分33秒」の是非を議論するつもりは全くないが、ここでは一旦置いておこう。

 

さて、笑ってはいけないに話を戻す。あの番組の魅力は、大きく二つあると考える。

一つは、視聴者自身が「笑ってはいけない」に参加できるということ。もう一つは、ありふれたお笑い番組よりも、視聴者が前のめりになるということである。それぞれ少し、詳しく話そう。

 

1.視聴者が参加できる

こちらはわかりやすいだろう。視聴者自身も無意識に、笑うのを我慢して番組を観る。通常の「笑ってくださいね」と笑いが提供される番組では、この体験はできない。

顧客に参加・体験を提供することの重要性は、音楽においてもすでに叫ばれていることである。

 

2.視聴者が前のめりになる

「笑ってはいけない」は自身も参加できることで、そうでない番組に比べ、視聴者がより前のめりに番組を観る。

さらに、大前提として「笑ってはいけない」というルールがあることで、次はどんな笑かしが来るのだろう?と番組への関心が強まる

また、ベテラン芸人たちが必死に笑いを堪えている様子自体も、他番組では見られない魅力の一つであろう。

 

 

音楽に置き換えてまとめてみる

では改めて、いま考えてみたことを音楽に置き換えてまとめる。つまり、ガキ使の「笑ってはいけない」を音楽に置き換えるとどうなるか

 

まずはじめに、やはり何かしら音楽は鳴っている必要がある。ガキ使の方も、笑ってはいけないと言いつつ、あくまで笑かしで笑いを生み出している。ということは、無音は避けた上で「鳴らしてはいけない」を考えることになる。

そして、リスナー自身が少なからず参加・体験できる様なものが好ましい。さらに、「鳴らしてはいけない」というルールによって、むしろリスナーの関心が高まる様なものを考える。

 

聡明なあなたなら、もう見えてきたことだろう。そう、答えは「激小音量ライブ」である。

常軌を逸した小ささの音量で、ライブを行ってみてはどうだろうか。小音量だが音は鳴っているので、音楽として破綻する心配はない。異常なまでの小音量によって、観客は否応なしに耳を傾けるだろう。かなり前のめりに聴いてもらえるはずだ。

それにライブなら参加・体験として申し分ない上に、小音量のため観客も下手に音を立てられなくなり、さながら「笑いをこらえながらガキ使を観ている」時の様な状態に。ありふれた大音量ライブでは味わえない、忘れられない体験となる。すごい肩凝りそう。

 

この記事を読んで「実際にやってみる」という常軌を逸したミュージシャンの方、企画実行の際には是非ともお声がけいただきたい。単純に興味があるので、わたし自身も客として体験してみたい。いなければいずれ自分でやってみようかしら。面白そうではないか。

という訳で、ガキ使から考えた激小音量ライブ、オススメである。ご活用あれ。

さよならを言うのがこんなにもつらい相手がいるなんて、ぼくはなんて幸せなんだろう。さようなら!

 

 

煤渡(@sswtr_in_cafe)