「これからはライブで稼げ」は必ずしも正解ではない

お金

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先日、とても興味深い記事が公開された。

参考:ブロガーが「有料サロン」で稼げるのならバンドマンが「ライブ」で稼げるのは必然じゃん? - SHELLBYS

 

プロのブロガー達が有料サロンで収益を上げているのを、ミュージシャンも参考にすべきといった内容である。

これを読んで考えたことを、忘れぬうちに書いておこうと思う。

 

ライブの収益を最重要視すべき?

「音楽で収益を上げる方法は多岐にわたる」と前置きした上で、著者の星川さんはこの様に書いている。

そんな中、一番重要視しなければいけないのは「ライブ」による収益なわけです。

ライブを成立させることができなければロックバンドで食べていけないと断言してよいです。

そういった意味で、ブロガーから何かを学ぶとしたら今は「有料サロン」に注目してください。

 

CDが売れなくなり、データ音源の販売もさほど伸びず、気付けば音楽業界のあちこちで「これからはライブで稼ぐ時代」と言われる様になった。

だがわたしは、正直この風潮に違和感を覚えている。音楽不況は、そう簡単な問題ではない。

 

ライブは救世主ではない

まず一つ忘れてはいけないのが、「これからはライブで稼がないと!」というのは、すでにCDを主収入として活動できていたミュージシャン達が発信源の理論であるということだ。

CDがバンバン売れるおかげで生活できていた、つまりもうある程度売れている人達が「CDが売れなくなるならライブでもっと稼ぐしかないよね」と言い始めた。当たり前の流れである。

その声がやがて大きくなって波及していき、気付けばまだ売れていない人達を含む音楽業界全体に「これからの一手=ライブ」といった考えが刷り込まれたイメージがある。

 

つまり現状はまだ、音楽業界はライブでの収益化に、なにか画期的な活路を見出せているわけではない。勘違いしてはいけない。

あくまで「音源が売れないなら、ライブで稼ぐしかない」という話でしかないのである。ライブはまだ救世主になってなどいない。

 

 「音源が売れない」が前提

さらに、この話の中で注意すべき点は「CD・音源が(前ほど)売れない」というのが、前提になっているということだ。

これが前提となった場合、すでにCDが売れている人達とそうでない人達では、どの様な違いが生まれるか。

 

前者は、前ほど売れないが結局CDも有料で販売しつつ、ライブ収益を前よりも上げようと努力する。

後者にありがちなのが、音源は無料配布・無料配信にしてまず聴いてもらい、その人達がライブに来てくれたときに収益化しようとする。

確かに音源はデータ化が進み、その無料化の流れもきていることは事実だ。だが、闇雲に「これからはライブだ」と考え、そのために音源を無料化することが、果たして唯一の正解だろうか。

 

ライブの収益性を維持するのは難しい

後者の様な、まだ売れないミュージシャンを想定して考えてみよう。音源を無料化し、おかげで多少のファンがつき、そこそこのライブ動員・収益が上がったとする。

そこで、次の新音源を発表する際に、あなたならどうするだろうか。

だいぶファンが増えたので、今ならCDを買ってくれると思うだろうか。無料だったものが有料になると、驚くほど人は離れる。Youtubeが有料になったら、ほとんどの人は使わなくなるだろう。

じゃあ引き続き、音源は無料で発表していこう。すると、相変わらず主収益はライブで上げざるを得ない。

だがあなたは今や、以前よりも売れっ子だ。もう少し大きな規模でライブがやりたい。

そうなった時に、つまりアーティストとして人気が出始めた時に、以前と同じライブの収益性を維持し続けるのはとても難しいことである。

会場の利用料は増え、PAや照明を雇い、チケットも手売りが難しくなってくるのでチケットサービスを使う。これら全てが必須という訳ではないが、ライブは規模が大きくなれば必ず中間業者・中間搾取が増える。

 

少々極論だが、十分あり得る可能性だろう。無計画に音源無料化で人気が出てしまっても、その後ライブの収益性を維持できずに苦労するだけということだ。

それに比べ、音源に関しては、その気になれば中間搾取を最低限にとどめ、自力で制作することは難しくない。それでプロクオリティのものを作ることも可能である。

音源は確かに売れなくなってきているが、音源の「収益性」は前よりも上げやすくなっている。その可能性をみすみす捨てて、なんとなく風潮に任せてライブで稼ごうとするのはやめた方がいい。

将来売れっ子になって音楽をやりたいのであれば、それを実現できるビジネスモデルを長期的な視点で考えることだ。 

 

有料サロンも、成功例はプロブロガー

ところでブロガーの有料サロンにしても、結局目に付く成功例はプロのものばかりだ。すでに大きなブログの閲覧数を獲得している人が、ファンクラブ的側面のある「有料サロン」を成功させている

つまり先ほどの音楽の話でいえば、すでにCDが売れて生活できていた人達の話ということである。

星川さんの言う様に、この有料サロンから学ぶことは多数あるだろうが、売れっ子の成功例であることは忘れてはいけない。

紹介されているイケダハヤトさんにしても、月のブログ閲覧数は100万超え、対して月額4980円の有料サロンは参加者72名である。

参考:(2015/3)運営報告:142万PV、60.4万UU、収益98万円:有料サロンのおかげで過去最高の売上です : まだ東京で消耗してるの?

参考:[ブログで稼ぐ] 実際にやってみてわかった「有料サロン」を運営する7つのメリット : まだ東京で消耗してるの?

 

ブログの閲覧→有料サロン、つまり無料→有料と人を動かすのは、これほど大変なのだ。つい一緒に考えがちだが、「音源の無料化」と「収益のライブ移行」は、別の問題として考える必要がある。

 

おわりに

思うがままに書いてみたが、結局わたしの気持ちとしては、星川さんと全く同じである。

イマドキのアーティストは音楽だけ作ってればいいワケじゃないから大変

そう思いますか?(笑)

けれど、自分だけの生業をつくることができれば永続的に音楽活動をすることが可能になります。

それはそれで、とても自由な感じがしてワクワクしませんか?

 

こんなにワクワクする時代に、音楽をやれてとても楽しい。本当にそう思う。むしろ、そう思えない人はやめておいた方がいい。

さよならを言うのがこんなにもつらい相手がいるなんて、ぼくはなんて幸せなんだろう。さようなら!