【崖の上のポニョ】ポニョは女の子ではない、女である

金魚と女の子

photo credit: fish bowl via photopin (license)

崖の上のポニョといえば、他の宮﨑作品以上に「子どものために」描かれた作品であることは明白だ。

だが、だからといってポニョが「ただの5歳の女の子」だと片付けてもらっては困る。

あれは女の子ではない。もはやである。

 

実在する、ポニョのモデル

NHK制作の「ポニョはこうして生まれた」の中で、宮さん(宮﨑駿氏)がポニョのモデルについて語っている。

なんでも、崖の上のポニョにおいて、作画監督を務めた近藤勝也さん。その娘さん「フキちゃん」がモデルであるという。

赤ん坊のフキちゃんと会った体験を元に、宮さんはポニョのイメージを膨らませたのだ。その時を思い出して、宮さんが笑いながら語っていた。

(フキちゃんを見て)こりゃあ”女”だと思った。要するに、迷惑をかえりみず、自分の欲しいものを欲しいという生き物なんですよ。迷惑を被るのは男の方なんです。

この体験からポニョの元は生まれ、そして近藤さんに「自分の娘を思い浮かべてポニョを描け」と指示。あの、全く新しいヒロインが誕生したのである。

 

宗介に会いにきたポニョ

そのポニョであるが、宗介に会いたい一心で大嵐と津波を引き連れ、陸に上がる

それだけではない。半魚人であるポニョが陸に上がることで、世界が崩壊に向かってしまうのだという。

けれどもポニョは宗介に会いに来てしまうし、人間になりたいと願う。

お構いなしに、津波の上を全力で駆け抜けるポニョの、なんと愛くるしいことか。まさに、迷惑をかえりみず欲しいものを欲しいという生き物である。

 

世界の命運を背負った宗介

このままでは、世界が崩壊してしまう。それを防ぐために、また本人の想いを尊重して、本物の人間にしてしまえばいいとポニョのお母さんは言う。

古い魔法を使い、男の子の心が揺るがなければ、ポニョは人間になれるのだと。

つまり、ポニョが半魚人であると知り、実際にその姿を見ても宗介の気持ちが変わらなければ、ポニョは人間になり世界は崩壊せずに済むのである。

唐突に、しかも全く知らない内に世界の命運を背負ってしまった宗介。健気だ。迷惑を被るのは、男の方なのである。

 

おわりに

もちろんあなたなら分かっているだろうが、宮﨑さんは別に女性を蔑視して、上の様な発言をしている訳ではない。

おそらく、まだ赤ん坊のフキちゃんを見てそう思ったことが、かなり印象的だったのだろう。

そして、そんな「迷惑をかえりみず、自分の欲しいものを欲しいという」ポニョの様子が、全く不快ではないことに驚かされる。

むしろ、その点が面白くも愛くるしくもあり、他のヒロインにはないポニョ独自の魅力となっているのだ。翻弄される男=宗介も、あくまで素直。健気で真っ直ぐに描かれている。

 

アニメや漫画で、天真爛漫な女の子というキャラクターはよく見る。だがそういった子は、実際にはいそうでいないものだ。

一方、ポニョの様な女性はどうか。一見「いるわけないだろ(笑)!」と思いがちだが、案外実在しそうである。

この作品を次にご覧になる際は、そんなポニョの女っぷりにも是非ご注目いただきたい。

さよならを言うのがこんなにもつらい相手がいるなんて、ぼくはなんて幸せなんだろう。さようなら!

 

 

煤渡(@sswtr_in_cafe)