【ランキング】ジブリ作品の英語版タイトルを語り尽くす

トトロmacbook

photo credit: Totoro! via photopin (license)

2013年、スタジオジブリの一つの時代が、明確に終わりを迎えた。

宮﨑監督の引退宣言があり、高畑監督も年齢と制作ペースを考えると、事実上引退と言って差し支えないだろう。

一区切りついたところで、普段あまり注目されない印象のある「ジブリ作品の英語版タイトル」について、少し時間をとってお話ししようではないか。

 

ジブリ作品の英題については、ジブリの海外事業部が考案していたはずだと記憶しているが、ファンとしてはやはりこの英題についても一言申し上げたい部分が多々ある。

そこで今回は、わたしの独断でジブリの英題をランキング化し、それぞれに好き勝手言わせていただく。異論は聞くが原則認めないので悪しからず。

なお、ご存知の通りわたしは「外人顔のくせに英語ができない」と評判の男であるため、英語に関しては感性だけでものを言っているふしがある。英語力の無さはジブリへの愛でカバーしているので問題ないと思われるが、細かなミスがあってもご容赦いただきたい。

 

原作のままの英題作品

ランキングを発表する前に、今回のランキングから除外する3作品をお伝えしておく。

  • ハウルの動く城(原題:Howl's Moving Castle)
  • ゲド戦記(原題:Tales From Earthsea)
  • 思い出のマーニー(原題:When Marnie Was There)

これらは全て、原作が日本国内のものでなく、そのため原作にあらかじめ英題が存在し、かつジブリにおいてもその英題をそのまま採用している作品たちである。

今回は、ジブリが決めた英題にあれこれ言うのが目的であるため、この三つについては対象外とさせていただいた。ちなみにわたしは、この中だと思い出のマーニーの英題が好きである。素敵だ。

失礼、前置きが長くなった。それでは、ランキングを発表させていただこう。

 

第1位「Spirited Away」:千と千尋の神隠し

優勝。カッコイイ。シンプルだが言葉の響きも良く、醸し出される雰囲気も作品とマッチしていて素晴らしい。

"spirit away"で「神隠し」の意味であり、おそらく"be spirited away"で神隠しに遭う、の意からタイトルもこの様になっているのだと推測される。だが、作品の物語自体を過去として回想する視点で"過去形=spirited"であるとも捉えることができると考えると、素敵さが増す。

 

第2位「The Wind Rises」:風立ちぬ

素晴らしい。こちらもシンプルだが、これだけのカッコよさである。

「風立ちぬ」は現代語に訳すと「風が立った」と読めるはずだが、この英題ではあえて過去形にせず「風が立つ」としている。これから始まる・やって来るなにかを思わせるタイトルである。

 

第3位「Castle In The Sky」:天空の城ラピュタ

日本人が使った"in the sky"というフレーズの中で、これほどまでに"in the sky"の名にふさわしい"in the sky"の使い方があっただろうか。

不朽の名作、天空の城ラピュタ。この作品にこそ、この"in the sky"の名がふさわしいと言えるだろう。「空の城」、シンプルかつ完璧なタイトルである。

 

第4位「Porco Rosso」:紅の豚

ジブリのコピーを多数手がけたコピーライター、糸井重里をして「タイトル自体が最高のキャッチコピー」と言わしめた名作、紅の豚。

正確にはイタリア語になるが、"Porco Rosso=紅い豚野郎"とそのままの意味合いである。字面、響きともに素晴らしい

 

第5位「Only Yesterday」:おもひでぽろぽろ

素敵すぎるだろ。カーペンターズか。

以上がTOP5である。ここから先は、一言物申す作品が増えていく。

 

第6位「Princess Mononoke」:もののけ姫

うむ、確かにカッコイイ。良いタイトルなのだが、"princess"という表現はもう少し、何とかならなかったものだろうか。

たしかに「姫」とあるが、もののけ姫における「姫」はいわゆる"princess"のそれとは違うだろう。

 

第7位「Kiki's Delivery Service」:魔女の宅急便

「キキの宅配便」である。おそらく「魔女」をそのまま英語にしても作品のニュアンスが伝わりにくいと思い、このタイトルを選んだのではないかと推測する。

だとすればその判断は評価したいが、個人的に好きな作品なだけに、もうひとひねり欲しかったところである。

 

第8位「Whisper Of The Heart」:耳をすませば

耳をすませば「心のささやき」が聞こえる、といったところだろうか。こちらも悪くはない、素敵である。

だが、そもそも「耳をすませば」自体が原作のタイトルを採用したものであり、この作品にベストマッチとまではいえない。そこから英題を考えるのは少々作品の内容を無視し過ぎてはいないだろうか

"Whisper Of The Heart"というフレーズ自体は素敵なのだが、実際の作品とイメージが繋がるとは言い難いところである。

 

第9位「Nausicaä Of The Valley Of The Wind」:風の谷のナウシカ

正確に言えばジブリ作品ではなく、ジブリの前身とも言える「トップクラフト」制作の作品だが、すっかりジブリ作品として取り扱われているため入れておく。

字面の仰々しさが、作品のイメージとよくマッチしており素晴らしい。ただし、あまりにも直訳であるため、作品の素晴らしさを考えると少し惜しいか。

 

第10位「From Up On Poppy Hill」:コクリコ坂から

"poppy"は訳すと「けしの花」。コクリコとはフランス語で「ひなげし」のことであるから、"poppy hill=コクリコ坂"となる。

この作品に関しては、実はもっと「昭和的な軽さ」を出したかったのだろうと思っている。あそこまで暗いイメージにするつもりは無かったが、声のキャスティングや全体的な画面の色味などから、制作側の意図以上に、なんだか暗い作品になってしまったのではないだろうか。

そういう意味では、この英題の響きはそういった「軽さ」をよく表現している。逆に作品側が、そこへ到達できなかったことが悔やまれる。

 

第11位「The Tale Of The Princess Kaguya」:かぐや姫の物語

直訳したのはいいが、仰々しさが作品とはすこしズレてしまっている。

「かぐや姫」自体が古き良き、日本の固有名詞と言ってもいいものだ。いっそのこと"Kaguya"や"Kaguya Hime"でよかったのではないだろうか。

 

第12位「Grave Of The Fireflies」:火垂るの墓

こちらも直訳である。作品のテイストを考えると、確かに直訳のままこれでも良いだろうが、やはり少々わかりづらい

扱うテーマが第二次世界大戦であるため、海外向けのタイトルについても難しい部分があったのかもしれない。

 

第13位「The Cat Returns」:猫の恩返し

うーむ。恩返しを"returns"と訳すのは、いかがなものか。リターンて、ビジネスじゃないんだから。

これならまだ"gratitude=感謝、謝意"の方が、作品のイメージとも乖離しないのではないだろうか。

 

第14位「My Neighbor Totoro」:となりのトトロ

大人気作のトトロである。わたしも特別な思い入れのある作品だが、これはいただけない。

"neighbor=隣人"というのは、さすがに直訳しすぎである。となりのトトロの「となり」というのは、そういうことではないだろう。

「近くにいる」や「側にいる」、少し踏み込むなら「友達」など、いくらでも解釈の余地があるはずだ。これを"neighbor"で片付けられては、温厚なわたしもさすがに腹が立つというものである。

 

なお、上の画像は海外版のジャケットだが、見てのとおりサツキとメイを足して割ったような女の子が、一人だけうつっている。

たびたび都市伝説のように騒がれる画像だが、これはトトロの制作開始当初、登場人物がサツキとメイではなく女の子は一人だけの予定だったことの名残である。

トトロは高畑監督の「火垂るの墓」と同時上映する作品として制作していたのだが、それぞれ60分ほどの作品にするはずが、制作が進むにつれて「火垂るの墓が90分ほどに延びてしまいそうだ」という話になった。

これを聞いた宮﨑監督が、「じゃあトトロも90分にする!女の子を二人にすればそのぐらいに延びるだろ!」といって、サツキとメイが誕生したのだという。

 

第15位「My Neighbors The Yamadas」:ホーホケキョ となりの山田くん

"neighbor"を使うというなら、まだこちらの方がマシではある。山田くんの「となり」とトトロの「となり」を同じ言葉で表すのは違うだろう。

ただし、この山田くんの英題についても、ここまで直訳する必要があったのだろうか。わざわざ複数形にまでなっているが、どうも作品のニュアンスを尊重している様には思えない

いっそのこと"YAMADA"だけにでもした方が、まだ良かったのではないだろうか。

 

第16位「Ponyo」:崖の上のポニョ

いやいや「HACHI」か。やる気があるのだろうか。もうちょっとあるだろう。

 

第17位「Arrietty」:借りぐらしのアリエッティ

いやだから、もっとこう、あるだろう。

確かに「借りぐらし」のニュアンスを伝えるのは難しいのかもしれないが、ここまで開き直ることもないだろう。

 

第18位「Pom Poko」:平成狸合戦ぽんぽこ

喧嘩を売っているのだろうか。もはや主人公の名前ですらないではないか。

ぽんの「ん」に"m"を使って、何かのニュアンスを気にしている様子である。もっと他にあるだろう。

 

おわりに

いかがだっただろうか。お気に入りの英題作品は見つかっただろうか。

今度女子が「耳すま、ちょーいいよねー」と言ってきたら、そしらぬ顔で「あぁ、Whisper Of The Heartか。俺も好きだよ」と言ってみてほしい。天沢聖司になったつもりでだ。モテるかもしれんぞ。

さよならを言うのがこんなにもつらい相手がいるなんて、ぼくはなんて幸せなんだろう。さようなら!